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そらの

元看護師

そらの

( 看護師 )

小児ネフローゼ症候群患者の看護と看護計画・症状について

そらの
元看護師 そらの

「症候群」とは、いくつかの症状が重なって起こるけれど、はっきりとした原因がわからないものを言います。ネフローゼ症候群が起こる疾患としては、IgA腎症、膜性腎炎、ループス腎炎、膠原病などがあります。

ここでは、主に幼児期に発生すると言われている「小児ネフローゼ症候群」について、看護師が知っておきたいポイントをまとめています。

1.小児ネフローゼ症候群の症状

小児ネフローゼ症候群の症状

ネフローゼ症候群では、成人・小児問わず以下の4つの症状が見られます。

症状 症状が起こる流れ
高度な
蛋白尿
・糸球体に障害が起こる
・蛋白の透過性の亢進
低蛋白
血症
・糸球体に障害が起こる
・蛋白の透過性の亢進
浮腫 ・血液中のアルブミンが減少
・血漿膠質浸透圧が低下
高脂血症 ・アルブミン合成が活性化
・コレステロールも同時合成

なお、子どものネフローゼに関しては「小児ネフローゼ症候群の診断基準」がありますので、その数値を基準に、治療における症状の変化をチェックしていくことになります。

 

看護師が特に注意しなければならない症状は?

ネフローゼ症候群では、健康段階によって現れる症状が変わってきます。それぞれの健康段階においては、看護師が特に注意しなければならない症状について説明していきます。

 

急性期(乏尿期)の場合

ネフローゼ症候群の急性期は乏尿期であるため、高度のタンパク尿が起こることで低アルブミン血症となり著明な浮腫(主に眼瞼・下肢)が起こるります。そのため、循環血液量の減少、血栓症、感染症などの症状に注意する必要があります。

また他にも、元気がない・倦怠感・不機嫌などの症状が見られることもあります。

 

注意点!

注意点
この時期では、急激な腹痛や嘔吐・血圧低下などが見られる「ネフローゼ急症」が起こりやすくなっているため、その前駆症状(頻脈、脈圧減少、呼吸数増加、顔面蒼白、血圧低下、冷汗、不穏状態)が見られたら早期に対処する必要があります。

 

回復期(利尿期)の場合

治療が進むと、利尿が増えていくため浮腫が軽減しますが、脱水には注意が必要な時期です。

 

寛解期の場合

ネフローゼの治療にはステロイドが使用されますが、寛解期ではその離脱症状(腹部の痛み・発熱・嘔吐・ショック・うつなど)に気を付けましょう。

慢性期の場合

慢性期は、症状が安定している時期と言えますが再発することもあるため、急性期の症状が出現しないかチェックすることが大切です。

 

2.小児ネフローゼ症候群の患者の看護計画

小児ネフローゼ症候群の患者の看護計画

ネフローゼ症候群の看護計画については、以下の問題点5つに対して立案します。

  1. 易感染状態
  2. 浮腫
  3. ステロイド剤投与による副作用
  4. 精神的ストレス
  5. 退院後の生活

それぞれ立案した内容について解説していきます。

 

「易感染状態」に対する看護計画

まずは、易感染状態に対する看護計画です。

看護目標 易感染状態を改善することができる
OP
(観察項目)
●バイタルサイン(特に体温)
●皮膚/粘膜の状態
●感染の徴候/症状の有無
●尿/便の性状・回数
●検査データ(血液・生化・尿・胸部レントゲン)
TP
(ケア項目)
●清潔援助
●排泄援助(おむつ交換・トイレ介助・陰部洗浄)
●感染予防(※1)
EP
(教育項目)
 ●感染の徴候/症状があれば看護師に伝えるよう指導
●感染予防の行動がとれるよう
本人・家族にパンフレットを用いて指導
●家族には面会前に手指消毒液を使うよう指導

【※1】感染予防

  1. プレイルーム・検査室へ行くときマスク着用
  2. 遊び後・排泄後の手洗い・うがい
  3. 食事前の手洗い・歯磨き
  4. 栄養状態のバランスを保つ
  5. 爪切り
  6. 環境整備
  7. 点滴刺入部のテープ交換・ルート交換

 

「浮腫」に対する看護計画

浮腫に対する看護計画について説明します。

看護目標 浮腫を軽減させ皮膚の脆弱性を改善させることができる
OP
(観察項目)
●バイタルサイン
●大泉門陥没・膨隆の有無(乳児)
●浮腫の部位/圧痕の有無と程度
●食事摂取量
●皮膚状態
●倦怠感の有無(学童期・思春期)
●体重と腹囲測定
●水分摂取量と尿量測定
●検査データ
(血液・生化・尿・胸部レントゲン)
TP
(ケア項目)
●安静の援助(※2)
●環境整備(ベビーベッド内の整理)
●保温
(湯たんぽの使用時は火傷に注意!)
●皮膚の保護
(服の締め付けに注意)
●薬剤投与
●食事制限
(栄養課と連携し好みの食材を入れる)
EP
(教育項目)
●ゆったりした服を準備してもらう
●ベッド上・周囲の片づけを指導
(学童期・思春期)
●転倒・転落について指導

【※2】安静の援助

  1. ベッド上での遊びを取り入れる
  2. 一日の過ごし方を話し合い、決まりを守れたらお気に入りのシールをあげる(学童期)

 

「ステロイド剤投与による副作用」に対する看護計画

ステロイド剤投与による副作用に対する看護計画について説明します。

看護目標 副作用症状なく、知慮を継続することができる
OP
(観察項目)
●バイタルサイン
●ステロイドの副作用出現の有無
●ステロイド離脱症状の有無
TP
(ケア項目)
●点滴/輸液ポンプ/服薬管理(※3)
●副作用への対症看護
●急変時の準備/対応
EP
(教育項目)
●薬剤投与の必要性について本人と家族に指導
●プレパレーションを用いて不安や緊張を和らげる
●副作用出現時には看護師に伝えるよう指導

【※3】点滴/輸液ポンプ/服薬管理

  1. 輸液ポンプを触らないようにベッド柵から離す(乳児期・幼児期)
  2. 輸液ルートが身体に絡まないよう注意(乳児期・幼児期)

 

「精神的ストレス」に対する看護計画

精神的ストレスに対する看護計画について説明します。

看護目標 患児と家族が不安な思いを表出することができる
OP
(観察項目)
●言動/表情のチェック
●ボディイメージの変化(学童期・思春期)
●食事摂取量/排泄状態
●睡眠の程度
●活気/機嫌
TP
(ケア項目)
●安静度を考慮した遊びを取り入れる
●発言しやすい環境の調整(学童期・思春期)
●規則正しい生活を送れるよう配慮(学童期・思春期)
●ボディータッチを増やす
EP
(教育項目)
●いつでも相談できることを本人と家族へ伝える
●1日のスケジュール作成(学童期・思春期)

小児ネフローゼ症候群は、本人だけではなく家族にも精神的ストレスを及ぼします。看護師は、そのことを十分理解し、患児・家族双方に配慮する姿勢が求められます。

 

「退院後の生活」に対する看護計画

最後に退院後の生活に対する看護計画について説明します。

看護目標 退院後も自己管理することができる
OP
(観察項目)
●フローゼ症候群とその治療について理解しているか
●退院後の生活について理解しているか確認
●言動/表情のチェック
●退院後、外来に受診したときの様子(※4)
TP
(ケア項目)
●発言しやすい環境の調整
EP
(教育項目)
●パンフレットを用いた退院指導(※5)
【※4】退院後、外来に受診したときの様子
退院後に外来受診をする際や病棟に来たとき、学校は楽しいか、友達と遊んでいるかなど、さりげなく聞いてみましょう。また家族にも連絡を取り、困っていることはないか話してみましょう。必要であれば、カウンセリングやフリースクールの紹介をします。

【※5】パンフレットを用いた退院指導

患児・家族に対し以下の項目について退院指導を行ないます。

  1. 食事・安静度
  2. 感染予防
  3. 皮膚保護の方法
  4. 内服方法

 

まとめ

まとめ

ネフローゼ症候群の看護について紹介してきました。

ネフローゼ症候群に対するステロイド療法のほとんどは一生続くわけではなく、5年間再発がなければ約90%の患者は完治すると言われています。

ステロイドによる副作用の「ムーンフェイス」はボディイメージの変容であり、子どもにとって大きなストレスとなります。またその症状のため、友人との関係が悪化し登校拒否になることもあります。

完治するまでの5年という月日は、子どもにとっては気の遠くなるほど長い時間だということを理解して接するようにしましょう。

この記事が少しでもお役に立つことができれば幸いです。

 

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カテゴリー:小児疾患




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執筆者:そらの By「看護師疾患ジョブ」(公開日:

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